小林昭弘さん【菊則】

小林昭弘さん【菊則】

飯沼観音の程近く、
店の外の棚にまでびっしりと並ぶ品々。
素人が入ってもいいのだろうかと
一瞬尻込みしてしまいそうなお店が、
刃物産地直売の店「菊則」だ。

少しの緊張感は、
お店に入りすぐにほどけていった。
温かな雰囲気で迎えてくれたのは
菊則の代表取締役である小林昭弘さんだ。

一面に並ぶ無骨な部品や鋭い刃物からイメージしていた
職人気質で厳しい表情の店主という勝手な想像をいい意味で裏切る、
穏やかな銚子の気候のように優しい笑顔が印象的だ。

先代が始めたお店の跡継ぎとして働き出したのがきっかけだというが、
仕事での苦労やつらいことは?という質問に
「好きでやっているのでつらいことはないですね」と
それをまるで当たり前のことのようにさらりと答えてくれた。

菊則は建設工具などプロ御用達のお店だが、
一般のお客様向けの商品として
包丁や園芸用の鎌、刈り込みバサミなどを取り扱っている。
インターネットでどんな物でも買えるようになった今、
小林さんがあえて地域密着にこだわるのは、
お客様との会話を通じて最適な商品を提案したいという想いからだ。
商品に自信がある。
だからこそ、「お客様にとっての商品の価値」
を左右する接客をとても大事にしているという。

もう一つ、商品の価値を決める大きな要素が、
メンテナンスなどのサービスだ。
研ぎなおしはもちろん行っているが、
菊則には他にも、「本刃付け」というサービスがある。
買ったばかりの包丁の多くは欠けにくくするため、
わざと鈍角やわずかに丸刃にしてあり、
本来の切れ味が出ていない状態だ。
これをもう一度研いで本来の切れ味にするのが本刃付けである。
「買って終わり」ではないやりとりが、
日用品の買い物を特別な時間に変えてくれる。

インタビュー後半、小林さんにこんな質問をしてみた。
「仕事をやりぬくための支えは?」

「お客様のありがたいお言葉です」

迷い無く、即座に返ってきたこの言葉。
一瞬聞き漏らしそうになったが、
とても気になった一言。
それが「お言葉」だ。
小林さんは全く意識せずおっしゃったのだろう。
だからこそ余計に、
お客様の話に耳を傾け続け、
その言葉を大切にしてきた姿が目に浮かぶようだった。

小林さんのこだわりである
「お客様の期待を裏切らない」こと。
実際はどうなのか。
どんな言葉で説明するよりも、
プロから一般の方まで、
先代からのお客様が今も通い続けているということが、
何より物語っているだろう。

ネットを開けば
無数の商品の中から
ランキングで一番人気を選択して
口コミをチェックしてポンとクリックするだけで
明日にはもう手元に届いているかもしれない。

そんな便利さもいいけれど、ふと
「毎日を丁寧にくらしたい」
と思うことがある。

じっくり選び抜いた特別な品を
丁寧にメンテナンスして、長く使う。
手をかけて、少しずつ自分の相棒になっていく。
そんな暮らし。

たとえば包丁。
自分や、愛する人を形づくる
毎日の食事。
その食事をつくる日々の料理の時間。

そんな時間が、
少し愛おしくなるような一品。

憧れていたライフスタイルは、
実はこんなに身近なお店で叶うのだ。

宝探しをするように
一度お店をのぞいてみてはいかがだろうか。

銚子で見つけた幸せ
先代からのお客様や、自分についてくれたお客様がいまだに通ってくれること。

 

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